高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

2014-01-01から1年間の記事一覧

2014年をよかったasinで振り返る

年末恒例、何度目だっけ(参考)。今年はなんだか忙しかったのか、俺の精神的には何もカルチベートされなかった一年だったな、てのが悲しい。信じられない思いだ。今年は50冊も読んでないだろうし不完全燃焼と呼ぶしかない、来年こそはという気分である。時…

レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』

最近全然書いてなかったけど別に読んでなかったわけではないのだ。とりあえず下書きになってたやつを卸してくけど、年末までに読んだ分全部書き出せない気がする。 で、これ。満足感があった……。ハードボイルド。かっこいいかどうかは分からないけれど。ミス…

三島芳治『レストー夫人』

ひっっさしぶりに漫画でとてもよいと思えるものを読んだと思う。Kindle版が配信される前にこれは絶対いいと思って予約していたやつだが、案の定よかった。 なぜだかは語られないが高校二年生になるとそれぞれのクラスが『レストー夫人』なる劇を上演すること…

『停電の夜に』

古本屋で見かけ、聞いたことのある名前であったので購入する。どうも以前から、新潮クレスト・ブックスって大人の女性を対象にした(ちょっとハイソな)レーベル、という印象があって、なんとなく自分には合わないなと感じてはいたのだけれど、そこには目を…

アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』

タブッキは一冊しか読んだことがないのに夏のイメージが強く植えつけられているなと思った。前に読んだの(『供述によると……』)が実際夏であったし、冒頭の描写も夏だったから、それも不思議はないなと思う。レーベルも同じく白水Uだから、なおさらかな。 …

藤ます『Sweet Lip』

最近この日記を書いてなくて自分でも心配だし久しぶりに書くのがエロ本なのも心配だ。てか最近ゲーム映画エロ本となって脳のカルチャーが破壊されてるなあ……。 では早速レビュー!!!(そういうテンションではない) まず特筆すべきなのはタイトルどおりフ…

ディーン・パリソット(監督)『ギャラクシー・クエスト』

往年のスペースオペラテレビシリーズ「ギャラクシークエスト」(スタートレックをモデルにしてるとおぼしい)は放送終了後も一部に根強い人気をもち、何年も後になってのファンイベントも盛況なのらしかった。しかしその役者たちはファン(つうかオタクだ)…

竜太『ちちにくりん』

Kindleのおかげてエロ本もほんのちょっととはいえサンプルを読めるようになったことは嬉しい。提供されるのが冒頭部分なのでカラーパートとなってしまい大部分を占める白黒のクオリティ判定が微妙にやりづらいのは難点だけど。これは表紙がそんなに好みでは…

『喰霊-零-』

「喰霊-零-」 Blu-ray Special BOX出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/12/27メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (5件) を見る レンタルで。東京に住んでたころに一話を見たきりで、なんとなく気になってたのを思い出したので、少しずつ観てた。 あり…

『Final Fantasy V』

FINAL FANTASY V - Google Play の Android アプリ 電車の中でにーちゃんがファイファンやってるのを見て、どうもやりたくなってしまったのでAndroid版を購入した。FF6はプレイ済みだったので、そのひとつ前のを。 ジョブがたくさんあったけど、なかなか自分…

リシャルト・カプシチンスキ『黒檀』

サントル・ダキエルの欠点を挙げれば、シャワーの数の少ないことで、なんと十部屋にひとつの割合だ。おまけに、数少ないこのシャワーは、いつ見てもひとりのノルウェー人青年に占領されている。この男は、バマコがこんなに猛烈な暑さだとは知らずに来たとい…

わかつきひかる『仏教学校へようこそ』

「仏教の教えはね、『私は幸せ、あなたも幸せ』『私はオッケー、あなたもオッケー』なのよ。私もカラオケで楽しくて、大和も楽しくて、両方オッケーでしょ?」 「自利利他、二利円満っていうんだ」 住職が言葉を添える。 仏教学校へようこそ p.65 折しも『世…

小野寺整『テキスト9』

何かよく分からない仕組みの働く宇宙の人間の危機を救うため、女物理学者が別宇宙へ乗り込む……。(あらすじのつもり) 当然、そこには、カレンの目に映る男優としてのグッドマン(男優体)だけでなく、それを鑑賞している客としてのグッドマン(客体)も登場…

古川日出男『アラビアの夜の種族』

"Arabian Nightbreeds"、無名の著者(有名ではないという意味ではなく、ノークレジット)による作で、それゆえ多くの翻訳者・編集者が自らの名前で好き勝手に改竄を施してきた物語の、日本語訳。だからこれは物語の物語だ。 ナポレオンの邪眼からエジプトを…

福島聡『星屑ニーナ』

3年後! 5年後! いやー、エピックだった! 作者はハチャメチャな漫画を目指したと書いていたけれどその試みは成功しているように思える。それも読者がついていかれないようなハチャメチャさではなく、ハチャメチャさを楽しみながら引っ張っていかれるような…

谷崎潤一郎『鍵・瘋癲老人日記』

こ、これが日本を代表する作家……。『春琴抄』がとてもよかったわけだけど期待に違わぬものであった。 鍵: エロオヤジが淫蕩な性質の妻に負けじと自分を嫉妬させるように仕向けて破滅していく様を描く日記。夫と妻との日記が交互に現れてミステリーのような趣…

殊能将之『黒い仏』

だいぶ前に読んだやつ。文脈は知っていたので展開に驚きはしないしむしろそれを求めて読んだのだけど。ミステリってのは懐の広いジャンルだと思いつつも、消化不良感は否めない。 黒い仏 (講談社文庫)作者: 殊能将之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/07/…

ジーン・ウルフ『ピース』

ジーン・ウルフの新作! ではなくて1975年のもの……。ウルフってそんなに邦訳されてないらしく、また古いものしか邦訳されてないのだと調べてわかった。 ウルフの作品が何で好きなのかと言うとこの嘘にからめとられるような感じ、技巧上のものじゃなくて語り…

渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ』

自立生活を志向する筋ジストロフィー患者と、その介助をおこなうたくさんのボランティアたちの話。ルポルタージュだね。最近はノンフィクションと言うらしい。Amazonのアカウントを取ってほぼはじめにウィッシュリストに入れた本で、ようやく掘り返してきた…

ジョージ・オーウェル『一九八四年』

一九八四年 (ハヤカワepi文庫)作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/08/01メディア: Kindle版 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 最近全然読んでないように見えるんだけどほんとに読んでない。困ったと…

丸山圭三郎『言葉と無意識』

言葉と無意識 (講談社現代新書)作者: 丸山圭三郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 1987/10/19メディア: 新書購入: 3人 クリック: 28回この商品を含むブログ (23件) を見る ソシュールの言葉による差異の論理は、自分の考えの中のかなり根元にある重要な話であ…

ロバート・クーヴァー『ユニヴァーサル野球協会』

ユニヴァーサル野球協会 (白水Uブックス)作者: ロバートクーヴァー,越川芳明出版社/メーカー: 白水社発売日: 2014/01/18メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る 存在しない野球リーグの話だけで一冊持たせてるのだ、熱いな、と思って手にとって(…

貫成人『哲学マップ』

哲学マップ (ちくま新書)作者: 貫成人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2004/07/06メディア: 新書購入: 3人 クリック: 47回この商品を含むブログ (46件) を見る その名の通り哲学(というか思想かね)というものの系譜を大きく俯瞰する本で、この本ならでは…

佐藤友哉『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』

フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人 (講談社ノベルス)作者: 佐藤友哉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/07/06メディア: 新書購入: 1人 クリック: 93回この商品を含むブログ (182件) を見る 佐藤友哉といえば一部の界隈(その実体は不明だが)では強い…

小林泰三・林譲治・山本弘 『超時間の闇』

超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)作者: 山本弘,小林泰三,林譲治,小島文美,金魚の夢,小澤麻美出版社/メーカー: 創土社発売日: 2013/11/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る クトゥルー・ミュトス・ファイルズというアンソロジーシリー…

唐辺葉介『電気サーカス』

電気サーカス作者: 唐辺葉介出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2013/11/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件) を見る 独立して複数に言及されていたら買うの法則で買い。しかしなんだねこれは、自伝的小説なんだ…

野村美月・日日日・田尾典丈・田口仙年堂・岡本タクヤ・石川博品『部活アンソロジー2「春」』

部活アンソロジー2 「春」 (ファミ通文庫)作者: 野村美月,ほか,のん出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2013/08/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る ファミ通文庫の作家たちによるアンソロジー。これってどういう位置づけなんだろう…

石川博品『後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール』

後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール (集英社スーパーダッシュ文庫)作者: 石川博品,wingheart出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/12/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (11件) を見る これは本当は去年のうちに読んだやつ。こういうのがたくさん…

木田元『反哲学入門』

反哲学入門 (新潮文庫)作者: 木田元出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/05/28メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 45回この商品を含むブログ (38件) を見る あけましておめでとうございます。哲学の教養のための一冊、みたいな触れ込みでエントリが書かれて…