丸山圭三郎『言葉と無意識』
- 作者: 丸山圭三郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1987/10/19
- メディア: 新書
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ソシュールの言葉による差異の論理は、自分の考えの中のかなり根元にある重要な話であるわりに、きちんとは知らないのが問題であったので、読んでみることに。期待してたより微妙だったな、『日本の思想』は結構面白く読んだ覚えがあったので、なんだろなーと思ったけどこれ、丸山違いですね……。
最初の章はいいんだけれど、途中からアナグラムの話になって、まあ創作者が自分の意図しない要素を作品に埋め込んでしまうという話はいい。だけどそれが既存の作品にこう発見される、というところから、何か新しい未知のものにもこれが適用されると予想されるとか、そういう話につながっていかないと、仮説の上に仮説を積み重ねているばかりで、まあそういう考えもあるよね程度にしか思えない。それでいながら西洋科学を批判するような態度をみせているのでなおさら。とはいえ断片断片はおもしろかったような気がするし、無意識について論じるようなことはそもそも根拠のあるような言い方ができるとも思えないので、論拠の組み立て方に違和感があったということかな。