高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

古川日出男『アラビアの夜の種族』

"Arabian Nightbreeds"、無名の著者(有名ではないという意味ではなく、ノークレジット)による作で、それゆえ多くの翻訳者・編集者が自らの名前で好き勝手に改竄を施してきた物語の、日本語訳。だからこれは物語の物語だ。 ナポレオンの邪眼からエジプトを…

福島聡『星屑ニーナ』

3年後! 5年後! いやー、エピックだった! 作者はハチャメチャな漫画を目指したと書いていたけれどその試みは成功しているように思える。それも読者がついていかれないようなハチャメチャさではなく、ハチャメチャさを楽しみながら引っ張っていかれるような…

谷崎潤一郎『鍵・瘋癲老人日記』

こ、これが日本を代表する作家……。『春琴抄』がとてもよかったわけだけど期待に違わぬものであった。 鍵: エロオヤジが淫蕩な性質の妻に負けじと自分を嫉妬させるように仕向けて破滅していく様を描く日記。夫と妻との日記が交互に現れてミステリーのような趣…

殊能将之『黒い仏』

だいぶ前に読んだやつ。文脈は知っていたので展開に驚きはしないしむしろそれを求めて読んだのだけど。ミステリってのは懐の広いジャンルだと思いつつも、消化不良感は否めない。 黒い仏 (講談社文庫)作者: 殊能将之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/07/…

ジーン・ウルフ『ピース』

ジーン・ウルフの新作! ではなくて1975年のもの……。ウルフってそんなに邦訳されてないらしく、また古いものしか邦訳されてないのだと調べてわかった。 ウルフの作品が何で好きなのかと言うとこの嘘にからめとられるような感じ、技巧上のものじゃなくて語り…

渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ』

自立生活を志向する筋ジストロフィー患者と、その介助をおこなうたくさんのボランティアたちの話。ルポルタージュだね。最近はノンフィクションと言うらしい。Amazonのアカウントを取ってほぼはじめにウィッシュリストに入れた本で、ようやく掘り返してきた…