日本の思想
- 作者: 丸山真男,丸山眞男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1961/11/20
- メディア: 新書
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途中の文学うんぬんの話は馴染みがなかったので飛ばして読んだ。あちこち興味深く(無責任な感想)、うまくまとめられないのだけれど、最初の「日本の伝統」という章がいちばんおもしろかった。
- もともと伝統的な思想など日本にはなく、「幽冥」などの伝統が、開国(明治維新?)以来流入してくる西洋の思想に対応して自覚的に対象化される機会はあったのだが、結局なされなかった。
- 日本に輸入される西洋思想は、思想の雑居を否定するキリスト教などのヨーロッパ的伝統に抵抗した産物なのだがその歴史的構造を解体されて日本に現れ、それが日本の生活感情に合うため、アンチテーゼがテーゼとなった状態で理解されている。
- 神道も時代の有力な宗教に応じて習合をくり返してきたのであり、日本の精神的雑居性を示している。
また4章、ササラ型とタコツボ型、というのは別の読書でも何度か目にしたことのある話で、ようやくその原典にあたれたわけだが、つまりいくつかのノードが別個に存在しているとき、ササラ型というのはそれぞれの根を辿ると大元がひとつに繋っているかたちであり、タコツボ型というのはそうではなくおのおのが分断されているようなかたちである。これも歴史的構造を解体された日本における西洋思想、という話と通じる。