高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

広島第二県女二年西組 原爆で死んだ級友たち

広島第二県女二年西組―原爆で死んだ級友たち (ちくま文庫)

広島第二県女二年西組―原爆で死んだ級友たち (ちくま文庫)

広島原爆投下の当日学校を欠席したため死を免れた女性が、四十年経ったあとで、級友の女生徒たち(平均年齢13歳)が、被爆してからどう彷徨いどう死んだか、を調べあげてまとめた本。というのでおもしろそうで買ったんだけど、こう言っちゃなんだが、おもしろい。
この本の性格上、時系列が前後したり人間の名前が大量に出てくるので(死んだ人だけでも三十人はいるし、それぞれに両親やきょうだいがいる)、結構混乱する。
読めばひどい話だけどひどいというよりすごい。火傷で肉親でも顔が分からないし、手をつないで逃げていても肌がずるずると落ちるのでいつの間にかはぐれている、みたいな話が何度もでてくる。親に尋ねた話もあわせて載っているんだけど、老人たちの記憶は時が経つにつれて変質していくし、その話にも予断が混じるものだから、いろんな話を聞いた上でまとめたというのは貴重だと思う。それでも当事者としての筆者の視点というのはどうしても入るんだけど。
この本が鎮魂歌的な性格もあるものだということは分かってるのだけど、イデオロギー的な話が絡むと俺はまごついてしまうし、感情が入ると読みづらい。あえて悲惨さを煽るようなことはしてないし、むしろ淡々としている方ではあると思うけど。出てくる地名のあとに括弧付きで爆心からの方角と距離があったり、地図にそれぞれが死んだ場所がプロットしてあったりと、こういうものがあるのはいい。
しかしこの各人のエピソードが十万のオーダーであったわけで地獄としか思えん……