雪沼とその周辺

雪沼とその周辺 (新潮文庫)

短編集。久しぶりにエンターテイメントじゃない本を読んでみたり。好んで読むような本はかならずクライマックスがあって、出来事であったり心中の盛り上がりを経験して、余韻を残して終わるのだけど、この本に書かれる物語に派手な事件は登場せず、ただ、気持ちがわずかに動いたとかその予感を感じさせたところで唐突に終わり、それはそれで別種の余韻があり面白いと思った。
ただ肝心の登場人物の心の動きそのものは俺に興味のあるたぐいのものではない、単に俺がまだ相応の歳を食っていないということだろうけど。『スタンス・ドット』はよかった。