高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)

よかった……!全3巻、これにて完結。すばらしい完結。この二人の恋愛の3年間を読者は共にしてきたのだなあと思う。
描かれることは現実味がない……とまでは言わないけれどあんまり綺麗なので、これは現実のことだ、という考えには至らないので、そこが安全(俺にとって現実の恋愛はいま、致命的である)。
二人は旅行に行ったり、あとは他人と関わったりしながら過ごしていく。ただそれだけの話なのだけれど。

何気なく店内の時計に目を向けると、もう7時を過ぎていた。いつもなら、そろそろ東雲と別れる頃だ。けれど今日は、そうではない。この後もずっと、東雲と一緒に時間を過ごすのだ。長い長い時間を。

甘ったるいガキのような考えなのかもしれない。
何年も経って、今よりも大人になって、いろいろな事を体験した後だったら、今のこの東雲との繋がりなんて噴き出して笑ってしまうような下らない出来事に過ぎなくて、やるだけやればいいじゃねえかとか、あの時やってりゃ良かったじゃねえかとか、そんな事を思ったりするのかもしれなくても、それでも俺は、東雲とただ純粋に身体を触れ合わせているだけの、この今の時間をいつまでも憶えていたい。

各章の終わりに不思議な余韻のあることは、最初の巻から続いている。何の効果なのだかわからない。