雨の塔
- 作者: 宮木あや子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/02/18
- メディア: 文庫
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境遇が違う四人の少女が登場するけれど、境遇が違うというだけで、あとは容姿が違っているだけで、性格の違いがわからず、まるで弾性をもったひとつの人格が大きく四分してそれぞれのキャラクターになったように感じ、おれはその例のどれとも擦らないくらい、少女的な考えとか、思いとかを、持ち合わせていないということかと思う。そして、タバコだとか、空だとか、お菓子だとか、外国語だとか、執事だとか、そういうものに少女の何らかが宿るのだということを、俺は肌でも想像でも知らないのです。たんに世界全体が気取っていると感じてしまうのは、事実おれが少女であったことがなくて、少女というものに幻想を抱いているだけで、少女の世界というものは本当にそうなのかもしれず、そこにおれは辿り着けないということではないのか。
境遇と性格とは本当に区別がつかないくらい密接に関係しているのかもしれない。それか、少女というのが、お互いの関係の中にあってはじめてユニークであるということなら、それはそうなのかもしれないと思う。
最近のおれは物語を読んでは分からないと嘆いて、俺は話を理解する能力に欠陥があるんじゃないかとか(まあそれは本当だろう)言うばかりで、じたばたする様子は、なんか可愛いんじゃないの?