高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

谷甲州『星を創る者たち』

星を創る者たち (NOVAコレクション)

星を創る者たち (NOVAコレクション)

太陽系の惑星群を舞台にした、土木SF連作短編。技術者たちのストーリーであり、それぞれの惑星、それぞれの立場の主人公たちは、わずかな兆候から異常に気づき、場合によってはプロジェクト全体を揺るがしかねない危機に巻き込まれ、そこで技術者の戦いを戦う。チームプレイの妙技とか熱い信念のほとばしりのようなものはあんまりなくて、宇宙空間をイメージするからか、音もなく、冷静に語られていると感じた。

それにしても土木! ああMoonにしろ銀河帝国にしろ、人類が宇宙に進出して基地を造るとき、資源を採掘し、設計をし、建設をしたプロがいたのだ。大きな事故が起きたときその惑星に与える影響のことを考える発想が俺にはなくて、面白かった。

そして最後の章は意外な結末なのだと帯でさんざん煽られてるが、とはいえ二十年も経って書き下ろされた結末なので伏線がみっちり張ってあるとかでもなく、別段期待せず読めばいいと思う。普通に面白かった。