高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

地下室の手記

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

現代にも十分通用するような主題で、さまざまに翻案されてよさそうだ。だけどこのいわば冷静な自意識ってのは小説ならではなんだろうなー。

……その実、俺が本当に望んでいるのは、別のことだからだ。何だと思う?——お前たちなんか、皆、破滅しちまえばいい、ということなのさ、そういうことなんだ! 俺が必要としているのは、平穏無事というものだ。自分さえ無事でいられるなら、今すぐにでも全世界を一コペイカで売り飛ばしてやる。世界が破滅するか、それとも俺が一杯の茶を飲めなくなるか? というなら、はっきり言っておくが、自分がいつでも好きな時に茶が飲めるためなら、俺は世界が破滅したって一向にかまわないのさ。こういうことを君は知っていたかね? 俺は自分がろくでなしの悪党で、エゴイストなうえに、怠け者だってことぐらい、ちゃんと知っているんだ。