若きウェルテルの悩み
- 作者: ゲーテ,高橋義孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/03/02
- メディア: 文庫
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また、ちょうどウェルテルと同じように胸に悶えを持つやさしい心の人がおられるならば、ウェルテルの悩みを顧みて自らを慰め、そうしてこの小さな書物を心の友とされるがよい、もし運命のめぐり合わせや、あるいは自分の落度から、親しい友を見つけられずにいるのなら。
これもブックオフでつい買っちゃう本。岩波文庫のやつと合わせて二冊あった。
書簡の形式をとっていて一篇一篇が短く空行が挟まるので俺にも読みやすいがページを開くと見開きいっぱいに文字が詰まっていることが時々あってそういう時には少し興奮する。
いっとき幸福だったかに見えたものはやがて耐え難い苦痛となる。だけどそのことのはじまりが真実だと信じ込んでしまったからもう諦めることもできない。確かに見たはずのあれをいたずらに追い求めることはただただ、苦しいことだ。
……——ねえ、ウィルヘルム、ぼくも時によるとさっそうとして奮起する勇気が出てくるのだ、が、さて——どこへ行けばいいんだ。それがわかりさえしたら、むろん行くんだが。
しばらく怠けて放り出してあった日記を今日ふとまた手にして驚いたんだが、万々承知の上でぼくは歩一歩深入りしてきたのだ。ぼくは自分の立場をいつもきわめて明瞭につかんでいたのだ。それなのに、いざとなるとまるで子供同然に振舞ってしまったのだ。今だってそうだ、ぼくははっきりと事態を見通しているんだ。それでいてさっぱりよくなりそうな気配がない。