高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

飛ぶ教室

飛ぶ教室 (講談社文庫)

飛ぶ教室 (講談社文庫)

「……よし。これでこの話はもうわすれよう。わたしは今晩外出する。ちょっとビールがのみたいからだ。最上級生のヘンケルをわたしの代理にする。ぎょうぎよくするんだぞ。もしきみたちが、今晩またひと騒動おこしたら、わたしは、この先もう外出ができなくなる。この点をよく考えることだな。いくらなんでも、きみたちはわたしに、ビールの一ぱいぐらいはのませてくれるだろうな。じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい、先生」
 みんなはさけびました。

「……そして、このありふれたそうぞうしい酒場の中で、ぼくは、どこかの森の中にでもすわっているような、ふしぎな孤独を感じているのだ」

生徒たちは無邪気で正直で思いやりがあり、自分を顧みることができるし、先生を尊敬しており、いい子たちで、話も子供騙しなわけではなくて、読んでて心地いい。作者の登場するまえがき・あとがきもいいね。1933年。