高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

ラギッド・ガール

『グラン・ヴァカンス』読んで、何だかんだ言って面白かったのでとりあえず買ってみたら文庫を注文したつもりが単行本届いちゃって、それで意気が削がれて放置してたのを取り出した。短編集なのでさくさくと、前の本はけっこう悪趣味な感じや観念的な話に少し気後れしてしまっていたのが、長々と続くわけじゃないので自分みたいに脳が弱くても読めるのでいい。
というか、かなり面白かった。生理的な嫌悪を感じる部分についてはもちろん人それぞれなのでさて置くとして、区界という計算機上のデザインされた仮想リゾート、という世界観が、非常に魅力的というか広がりを持って描かれている、それぞれの世界はファンタジーとして(も)成立していて、その裏にSF的後ろ盾があることが垣間見えるのが、格好いいよなあ。こういう感じは『新しい太陽の書』(ほど模糊とはしてないけれど)みたいで好きだ。話はいくつかあるので現実側の話も仮想世界側の話もあるわけだが、それぞれがただ共通したこの設定の上に乗っているだけではなくて、仮想リゾートと現実世界との交渉が途絶える<大途絶>というひとつの事件がつねにこれらを貫いているのも、話に深み(というと陳腐だけど)をあたえている。