高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

退出ゲーム

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)

人が死なない学園ミステリ連作短編。でさくさく読めて気持ちがいい。表題の「退出ゲーム」というのは漢字とカタカナを組みあわせて独特の印象を与えつつ何かを抽象的に暗示するたぐいのもの、つまり「夏色キセキ」のような、ではなく、本当に退出ゲームという名のゲームだった! というのに感激した。演劇部とのからみで出てくるこれは即興劇の一種で、舞台に登った者たちが二手に別れ、同じ場面を共有しつつ、無理なく舞台から退出できた(もしくはさせられた)側の勝利、というゲーム。芝居は役者によってしばしば断りなしに中断させられ、現実に引き戻されるのだが、そうやってそもそもの(『退出ゲーム』という短編の)謎をあかし、ストーリーを進めていく様子が面白かった。短編ひとつを終えるたびに吹奏楽部のメンバーがひとりずつ増えるという趣向になっているらしい。