高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

スティル・ライフ

スティル・ライフ (中公文庫)

スティル・ライフ (中公文庫)

 この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
 世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
 きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。

この冒頭の数文をどこかで読んだことがあって(センター試験に出題されたそうなので、高校生のころに模試なんかで読んだのを覚えていたのかもしれない)、詩的な、自身と世界のことの、その二本の木のイメージがなんとなく頭のなかにあったのだけど、いきなりこれに予想せず出くわしたので感激してしまった。物語はそれから予想もせず個人の体験的になっていったのだが、気取ったようにもとれるものの静かに語られる様子はよいなと思ったのだった。