世界をやりなおしても生命は生まれるか?
- 作者: 長沼毅
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
ちょっと最近情緒を失なっているので、とりあえず科学書籍とか技術書とか批評でも読もうかというところ。これは去年から読んでたんだけどね。
高校生を相手にした講義を書籍におこしたかたちの本なので、いろいろなトピックについて触れて興味をかき立てるようになっている。だからこの本のストーリーで何かの大きな結論に達しようというわけではなく、テーマは生命とは何かを考える、というところくらいかな。細かい立ち入った話は参考文献なんかを見るのがいいんだろう。
生命独自の要素というのは「自己増殖・自己複製」「代謝」「細胞」という風にこの本の中で言っている。もちろん用意された講義ではなく生徒との口頭での話なので、厳密にどうかは分からないけれど、代謝も細胞もあまり念頭になかったのでちょっと頭を開かれた。細胞というのは生命活動をおこなう小単位のモジュールが集まって(自己組織化して)ひとつの生命をなすということ。そうすることで一部がダメージをうけても生命は回復することができる。
最後のほうでは生命はパターンである、と言っている。Wikipedia の 散逸構造 とかを見ると 散逸構造は、岩石のようにそれ自体で安定した自らの構造を保っているような構造とは異なり、例えば潮が流れ込むことによって生じる内海の渦潮のように、一定の入力のあるときにだけその構造を維持し続けているようなものを指す。
とあり、こんなイメージなのかなあと思う。生まれ落ちてからは絶えず代謝を続けて生命のパターンを維持する。物理現象として見るとよくもまあこんな複雑にできてるもんだと思う。
生命は宇宙のエントロピーを(他の物理現象より)増大させて熱的死へと近づけている、という言い方は、まあ面白いんだけど、なんだか、そういう話なのか?としっくりこなかったんだけど、 読書にっき を読み返していて、生命はエントロピーを排出して自己を維持してる、という風に捉えるなら分かりやすいと思った。