高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

車輪の下に

車輪の下に (角川文庫クラシックス)

車輪の下に (角川文庫クラシックス)

こういう地の文がページを一杯に埋め尽くしている本を読むと、なんだかそれだけであてられてしまって、考えごとをする時にも三人称で彼は、なんて思っているのに気づき、この経験が別段好きだというわけではないけれど、面白い。切れ目なく続いているように見える文章の中で、実はしっかりと場面や時間は変化しているのが、素直に読んでいれば自然と受け入れられる。
情景や心理が正しく細かく、書かれ続けているみたいだった。ハンスとヘルマン(・ハイルナー)が作者の投影を受けているということくらいは分かるけど、それ以上にはおれは共感も歓心なくて、何だか淡々と読んでいた。他人の人生っていうのはたいていこういうものなんだろうと思えば不思議でもない。