高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

百年の孤独

百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))

百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))

百年の孤独』を読んだ。なんとなく聞き及んだことのある名前であるよなーと思いながらなかなか手が伸びなかったのを何の機会にだろう? 読み始めたのだがなかなか最近は読書の時間が取れなくてゆっくりと一章ずつ読んだものだった。思ったのはこういった本を読むときには身体的な環境を整える必要がある。

マコンドという村のはじまりはふむふむ、理解できる、(それなりに)整然としたストーリーや人物たちだったのが、代を下っていくうちにどんどん混沌としていった。おもしろいんだけど、さっぱり集中して読めてなくて、もうちょっと読書環境よくしておきたかった気がしてもったいない。しかしとにかく、イメージを、エピソードをつめこむんだ。不思議なエピソードが不思議でもなく語られて、教訓なんか何もない、ただの挿話の年代記なんである。

[……]四時十分に中庭へ出ようとすると、遠いラッパの音や、ドラムの響きや、子供たちのうれしそうな声が聞えた。青春時代がすぎてから初めて、大佐はすすんで郷愁が仕掛けた罠にその足をのせ、父親のお供でジプシーのところへ氷を見にいった、あのすばらしい午後を懐かしんだ。このとき、サンタ・ソフィア・デ・ラ・ピエダが台所の仕事をおっぽりだして、戸口に向かって走りながら叫んだ。
「サーカスだわ!」
 栗の木のほうへ行くのをやめ、アウレリャノ・ブエンディア大佐も表へ出て、行列を見ている野次馬の群れに加わった。象の首にまたがった金色の衣装の女が目についた。悲しげな駱駝が見えた。オランダ娘のなりをして、スプーンで鍋をたたいて拍子を取っている熊を見た。行列のいちばん後ろで軽業をやっている道化が目にはいったが、何もかも通りすぎて、明るい日射しのなかの街路と、羽蟻だらけの空気と、崖下をのぞいているように心細げな野次馬の四、五人だけが残ったとき、大佐はふたたびおのれの惨めな孤独と顔をつき合わせることになった。[……]
pp. 311-312