高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』

ずっと前にKindleで買っていて、案外読むのに難儀したので、ときどき気が向いたときに読み進めてた。どこで知ったのか覚えてないが『百年の孤独』の近現代日本版じゃろ? との予断をもって読みはじめ、たしかにその趣があったけど、しかしときどき時代を語るようなところがあり、それがあまり気にくわなくて、祖母の時代は読むのがのろくなってしまった。女系三世代の語りで、これが母の部に入るとやたら面白くなったので一気に読んだ。製鉄所に見守られた町の名家、に嫁いだ千里眼の万葉と、その娘で若いころは不良で鳴らし、やがて少女漫画家になった毛鞠、彼女をかわるがわる訪れる編集者たち、寝取りの娘、死者、家に棲みつきそれを構成する一員になった人たち、エピソードにつぐエピソード、そういうのは、ラテンアメリカ的、魔法的だ。それが現代の「私」の番になるとあっという間に不思議さをはぎ取られてしまい、物語の回収者になるばかりだった。それはそれで悪くはない、現代だから仕方ないし、このパートも面白かった。あとがきには海外小説の名前がたくさん載っていて(もちろん『百年の孤独』もだけど、それはたくさんのうちのひとつでしかなかった、『ケルベロス第五の首』まであった)、いいなと思った。その中に『精霊たちの家』が挙げられていて、手元に積んでいたので、いま読んでいる。

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説