高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

木田元『反哲学入門』

反哲学入門 (新潮文庫)

反哲学入門 (新潮文庫)

あけましておめでとうございます。哲学の教養のための一冊、みたいな触れ込みでエントリが書かれていてこれいいのかな、という話が出たので買っていたやつが外出するとき近くにあったので鞄に入れたのだった。

もともとは口述らしい。哲学史である。どうやら日本人には(西洋)哲学に劣等感を持っているらしい前提ではじまっていて実感がないのでよくわからない。自然を超自然の立場からみた対象とする西洋と自然に包まれて生きる日本人、という対比がされていて、これも御定まりの議論のようで、まあこの本が書かれた当時の状況はそうだったのかもな、と思いながら読みすすめる(と思ったら 2010 年の本だったよ!)。

ギリシア時代からはじまって20世紀のハイデガーまでの哲学の系譜をおおざっぱに辿る。読んでると俺に興味が湧くのはせいぜいデカルト以降なんだな、ということがわかった。カントは何故世界が人間に認識できるのか、という問題に対し、「世界は神が創造したのであり、人間の理性は神が与えたものだから」などという答えではなく、人間が世界を歪めて見ているのだ、という答えを見いだしたらしく面白そうだった。カントのことはよく知らなかったので知る必要がある。現象界、といった考えはラカンでしか知らなかった(ちょっと違うけど)。

そういう本なのでいいんだけど、思想の紹介だけでなく哲学者の経歴とか用語の話とかもろもろのエピソードが挟まれるのが、系譜の理解の助けになるようでいて、それらの歴史の一定の前提知識が必要に思えて、むずかしい。ある程度のコモンセンスに注釈を加えていく本のように思う。私の父は地元の名士で……みたいな話が最初にあったのも読むのを阻害した。そういう本なのでいいんだけど。

哲学マップ (ちくま新書)のほうも読んでみて検討する。