高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬

アメリカのメキシコ国境付近が舞台。主人公の友人メルキアデスが、ゴロツキめいた国境警備隊の若者に誤って射殺され、死体を隠されるのだけれど、男はそれを取り戻し犯人も突き止める。メルキアデスはメキシコからの流れ者で、自分が死んだら国境の向こうのその村に埋めて欲しいとただならぬ様子で言っていた。男はその約束を果たすため、手錠をかけられた若者と死体を連れて馬で国境を越える。これは格好いいよな。ロードムービーだ。

しかしこの若者にとってはたいへんな災難で、とつぜん自宅に現れた男に脅され、手錠で拘束されたまま嫌々連れられる旅で、いろいろと痛い目には遭うし、暑いさなかなので死体は異臭を放ち始めている。男は友情に突き動かされているというよりは何か異常な感じがある。

しかし旅が終着点にたどり着いたとき、メルキアデスだけではない、三人ともが故郷と呼べるものを持っていなかったことがわかるのだ。故郷は遠くにあって想うものさ、という台詞は誰が言ったのだったか。