高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

隠慎一郎の電気的青春

やらなきゃいけないことがあることを漠然と意識しているもののまったく取りかかっていない暗澹たる気落ちの気分のときには適当に漫画を買って気を散らす。すでに夜だったので Kindle で本を漁ることにして、また ITAN で何か読みたかったのでそういうものを探してみたところ表紙が目を引いたこれ。1 巻で終わりというのもあった。

隠慎一郎の電気的青春(1) (KCx(ITAN))

隠慎一郎の電気的青春(1) (KCx(ITAN))

人に注目されると電撃を発してしまう困った体質を持った主人公ができるだけ目立たないように高校生活を送ろうと奮闘し、もちろんその努力は逆効果という喜劇。ギャグは面白いし話も気持ちいいのでこの巻だけで終わってしまうのが勿体ない。それに女の子の目がグルグルしていてかわいい、グルグル目というよりは同心円か。共学の高校なのだからとうぜん恋愛もある。ものごとに恋愛の相というのはそれを知る者には常にかならずあり、そうであること自身に普通の高校生はなぐさめを見出すのかもしれない、それが青春なんだろう。そうしてライバルキャラ(こいつもいいやつだし、登場シーンには笑った)の台詞の余韻をのこしたまま、本は一巻の終わりを迎えるのだった。かくしてよかった、幸せな本だった。

主人公が恋をする女の子の名前が「狙 春香」というのもよかった。おれは春香って名前を現実に見ると気をひかれてしまうらしい。